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WOMBクルーのYUUKi MCが自らプロデューサーを務めた日米合作映画『レオニー』を語る(後編)。

(前編からの続き)


映画はたくさんのプロがひとつの作品のために集まる最高の'総合芸術'。


映画の最大の魅力、他のアートとの一番の違いは、やっぱり映画は最高の総合芸術だという点だと思います。もちろん、音楽や舞台、美術等、アートはたくさんありますが、いろいろな要素を含んだ総合芸術って点では、やっぱり映画が一番だと思います。それこそ、何百人というプロ、しかも、それぞれそれまではバラバラに自分の仕事をしてきたプロが数ヶ月の期間、力を結集してたったひとつの作品を作っていく。その感覚は映画ならではのものだし、映画のダイナミズムだと思います。

例えば、どのシーンでも、カメラのフレームのちょっと外には、それこそ何百人の人がその一瞬に集中して仕事をしている。それこそ、俳優や照明、カメラはもちろん、木の枝を揺らしているスタッフまで。'日が沈むまでのあと20分でこのシーンを撮らなきゃ'とか、予備日も含めて天候が崩れちゃってシーンがなくなったりシナリオが変わったり。予算的やスケジュール的はもちろん、天候等のさまざまな要素を含めて、本当にギリギリの中で、それぞれのプロが最高の集中力を発揮して作るのが映画なんだと思います。もちろん、どのシーンでもフレームの外側には必ず僕はいて、細かなことに動き回ってました。

あと、当たり前だけど、撮るだけで終わりじゃない。現場で撮影を見てたはずなのに、編集されて音楽がのったら全く印象が変わったりもします。俳優や監督は当然、解ってやっているんだけど、それぞれがそれぞれの仕事をそういう風にやっていて、それが最終的にひとつの作品になる。出来上がってしまえば1本の映画、'1'っていうユニットでしかないんですが、その中にものすごくいろいろなものが濃密に凝縮されています。

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日本と海外の架け橋に。

『レオニー』は日米合作映画なので、日本とアメリカそれぞれ別のクルーで撮影してて、日本の映画の作り方とハリウッドの作り方、半分ずつで作られています。法律や配給などの問題ももちろん、撮影についてもかなり違います。例えば、アメリカには俳優やスタッフの組合があって、俳優を拘束できるのは最大で1日12時間って決められています。レオニーの晩年のシーンはエミリーが特殊メイクで演じていて、特殊メイクに3~5時間、メイクを落とすのにも2時間くらいかかるんですが、拘束できる12時間っていうのはエミリーがホテルを出てからホテルに戻るまでなので、実質、撮影にかけられるのは数時間だけだったりするんです。日本ではこういう取り決めはないんですが、日本での撮影だからって治外法権になるわけではないので、アメリカの撮り方でやらざるを得ない。もちろん、スケジュール的には大変なんですが、逆に日本の撮影クルーには好評だったりして(笑)。日本では何日も徹夜で撮影なんて当たり前みたいなので。そういう意味では、日本の撮影クルーにとっても面白い経験だったと思うし、日本とアメリカの映画界の架け橋になったかもしれません。

日本と海外との架け橋といえば、イサム・ノグチというアーティストも、まさにそういう存在だったのかもしれません。「あかり(Akari)」や「ノグチ・テーブル」が有名ですが、例えば、RICHIE HAWTINたちが出演したDETROIT ELECTRONIIC MUSIC FESTIVALの会場の公園のメインの噴水とか、マイアミのULTRA MUSIC FESTIVALの会場になったベイフロント・パーク自体もイサム・ノグチのデザインです。'地球に彫刻をした男'って異名が付いている人で、世界に日本的なアートを紹介した第一人者って言えるアーティストです。母親のレオニーはまったくと言っていいほど知られてなかったんですが、監督がドウス昌代さんが書いた『イサム・ノグチ ~ 宿命の越境者』という本を読んで、その中で描かれているレオニーっていう女性にすごく興味を持って。100年くらい前に日本人との間にできた子供を産んで、アメリカと日本で育てるって、今では想像もできないくらい大変だったと思うんですよ。でも、そういう人生を受け入れて、力強く生きていく姿っていうのは普遍的なものがあるし、今、こういう時代だからこそ作品として描きたい、と。

とにかく、いろいろなものが濃密に詰まっているんで、イサム・ノグチやアートに興味がある人にはもちろんですが、そういう基礎知識がなくても感じるものは多いと思うので、WOMBに遊びに来てくれている人には、ぜひ、1人でも多くの人に観て欲しいですね。そういえば、RICHIE HAWTINも12月4日のWOMB ADVENTUREで来日した時にはクルー全員で観るって言ってくれてます。あと、実はエミリーはWOMBに遊びに来たことあるんですよ。撮影がすべて終わった後に、ぜひ来たいって言って。すごく楽しんでました。


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『レオニー』
世界的な彫刻家として知られる故イサム・ノグチの母親、レオニー・ギルモアの壮絶な人生を描いた作品。『ユキエ』や『折り梅』などの作品で知られる松井久子監督がドウス昌代がイサム・ノグチの生涯を描いた著作『イサム・ノグチ ~ 宿命の越境者』にインスピレーションを受け、これまでほとんど語られることがなかったイサム・ノグチの母親、レオニー・ギルモアの人生に着目し、その壮絶な生涯を日米13都市で撮影した切なくも力強い感動作。主演は『マッチポイント』・『シャッターアイランド』等で知られるエミリー・モーティマーと、歌舞伎だけでなくTV・CMなどで広く活躍する中村獅童で、原田美枝子、竹下景子、吉行和子、中村雅俊、柏原崇、大地康雄、勅使川原三郎等が出演している。あいち国際女性映画際2010 観客賞受賞・第23回東京国際映画祭 特別招待作品。11月20日(土)~、角川シネマ新宿他で全国ロードショー。
『レオニー』オフィシャル・サイト
* Twitter アカウント: @myleonie

YUUKi MC
1988年に14歳でイギリスに渡り、ダンス・ミュージック創世記をヨーロッパで過ごし、90年代にドラムンベースの胎動を体験。1998年に帰国し、世界中に張り巡らせたアーティストとのネットワークを駆使してブッキングをメインにWOMBのプロデュースを手掛け、AKi・TAKEOらとともにWOMBのレジデント・ドラムンベース・パーティ、06Sをプロデュース。AKiのパートナーとしてレジデントMCを務め、AKi・TAKEOとともにトラックのプロダクションも行うなど多彩に活躍している。
プロフィール



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